変形性膝関節症

変形性膝関節症は手術しか方法がないのでしょうか?

 現在、変形性膝関節症と診断され、手術を勧められた女性が通院されています。MRI診断の結果は左膝は前十字靱帯断裂・内側半月板損傷、右膝の外側半月板バケツ柄状断裂という重傷でした。
 歩行時に痛みがあり、足を引きずるような歩き方で来院されました。しかし院長治療後は膝にこのような障害を受けている女性と分かる人はいないくらいになりました。
 日常生活の動作においては痛みが出ていないからです。なぜこのようなことが可能となるのでしょうか?

*膝の内側に負担をかけるO脚の怖さ

図ー1

 図ー1は後ろから見た下肢の全体図です。
 良く見るとO脚であることが分かると思います。そして膝関節に目を向けると、内側にある空間と外側にある空間では、内側にある空間の方が狭くなっています。つまり内側半月板に負担をかけやすい状態であることが分かります。
 O脚のままの状態で放っておくと、内側半月板に負担がかかり易くなっていきます。
 逆にO脚が少しでも改善されるのであれば、負担は確実に減ることが理解できると思うのです。

 ただ整体でのO脚矯正と一口に言っても大変難しい技術でもあります。図から推察できるように、股関節や足関節の形状も関係してくるからです。
 また膝関節を動かす筋肉、股関節を動かす筋肉、足関節を動かす筋肉も考える必要性が出てきます。

 下の写真はO脚の女性です。変形性膝関節症などの痛みの症状はありません。右はO脚になっている脚の図です。後で詳しく説明しますが、この図を見てどの部位が異常に見えますか。

 ―答えは「股関節の付き方」なのです。多くの方は図のように「大腿骨が真っ直ぐになるように股関節に付く」と考えられている方が多いようです。しかし答えは「ノー」なのです。真っ直ぐに付くことで膝から下の骨は斜めに足首に付くようになってしまうのです。というのは足の位置が大腿骨の真下にくると、股関節が外れやすい形態になるからです。

 股関節に負担を掛けないようにするために、大腿骨と脛骨が不安定な状態で接していることが分かると思います。この時の半月円板の負担は相当大きなものとなります。

 正しい脚は下の写真と図となります。実は当院におけるO脚矯正コース10回での改善された脚です。

 この図のように股関節に付く大腿骨の位置が斜めになると、膝から下の骨は足首に真っ直ぐに付くようになります。つまり足の位置の線上に股関節の接触面が位置するようになるので、股関節が外れ難くなります。また脛骨と大腿骨の設置面は安定し、半月円板の負担が減るようになる事を理解できると思います。

では大腿骨の位置を決める要因はどのようなものなのでしょうか?

 ー良く勘違いされるのが、骨と関節なのです。確かに生まれつきの関節や骨の異常の方もいらっしゃいますが、多くは筋肉に問題があるのです。というのは骨や関節は筋肉や靭帯などがない状態ではバラバラになってしまうのです。理科室にあるガイコツの模型ではネジによって関節が固定されていたと思います。

 また関節や骨が正常であっても、脳出血などが起こった場合、腕は曲がったままになり、脚は伸びきった状態で鶏歩というつま先で歩くようになってしまいます。つまり脳からの指令で動くのは筋肉なのです。ですから日常生活の座る・立つ・歩行などに問題があったり、スポーツでの片側運動が多いと、大腿骨が付く位置がずれてしまうのです。

 上の左図は大腰筋についての資料です。ご覧のように腰の骨から大腿骨の内側に付くので、大腿骨の位置に大きく関係してきまし、変形性股関節症や変形性膝関節症の改善には必要な筋肉です。そしてこの筋肉が収縮すると膝を胸に付ける動作をします。ですから上向きでベッドに寝てもらい、股関節屈曲=膝を胸に付けるように曲げてもらうと、O脚並びに股関節症・膝関節症の人で正しく動かしている人は一人もいません。この場合そけい部に痛みを感じる人も出てきます。右図のように大腰筋はそけい靭帯の下を通って大腿骨に付くからです。

 院長治療=SRMでは腸の下に位置する大腰筋調整などの手技によって大きく正しい位置に戻します。大腰筋調整をすると大腿直筋(=腸骨という骨盤から膝のお皿を包んで膝下の脛骨に付く)の位置も修正されてきますし、そけい部痛も改善されてきます。

 大腰筋調整はSRMの代表的な調整方法ですが、この手技を可能とするのが側頭筋マッサージであり、広僧筋マッサージなのです。その結果、写真で見て頂いたようなO脚矯正を可能としたのです。

さらに膝関節を動かす筋肉に目を向けて見ましょう。

*膝関節を動かす筋肉

図-2

 膝関節は人体の中で一番長い骨である大腿骨と二番目に長い骨の脛骨そして腓骨・膝蓋骨から出来ています。そして膝関節は伸ばす・曲げる・外側に回す・内側に回すなどの動きをします。図ー2でみられるように、数々の筋肉が働いて動かしています。そしてこれらの数々の筋肉は骨盤についたり、足についたりしています。ですから股関節や骨盤の動き、また足関節の動きも考えなくてはいけなくなってくるのです。また骨盤の動きを考えると、骨盤に付いている腹筋や背中にある筋肉も考えなくてはいけません。これらの筋肉は身体の回旋であるねじる動作に関係してくるので、日常生活での動きに多大な影響を与えます。

 また背中の筋肉を考えると、背骨・肩甲骨・肋骨などから出ている筋肉にも目を向ける必要がでてきます。腕や首を動かす筋肉もこれらの部位から始まるので、正しい腕の振り方や首の位置にも関係してきます。そしてこれらの筋肉を整えるとバランス良く歩けるようになるのです。

 次に首を考える場合に顎関節も大切になり・・・・・・。という具合に膝関節を考えた時、膝関節だけ考えていれば良いのではないのです。

*坐る姿勢で膝痛を悪化させる。

図-3

 膝痛の多くの人が膝に負担をかける坐り方を知りません。足を伸ばして座ってみてもらうと良く分かります。図ー3のように坐骨結節を座面に付けて座れる人と、骨盤を後傾させ尾てい骨で座ってしまうタイプの人がいます。図でも分かるように尾てい骨で座る人は、大腿後側の筋肉であるハムストリング群を縮ませてしまいます。正しい姿勢で座れるように身体を整えることと、正しい座り方を指導する必要性があるのです。

図ー1、図ー2で見られるようにハムストリングは膝関節を曲げる時に使われる大切な筋肉で、この筋肉が縮んだままになると、膝を伸ばして歩けなくなります。その結果、理想的な歩行である踵(かかと)着地の足の母趾蹴りが出来なくなります。中には足のつま先から着地して歩いたり、すり足歩行になってしまう人もいます。

このような歩行は膝周囲の筋肉・靭帯・半月板にも負担をかけ、変形性膝関節症を悪化させてしまう原因となるのです。

*膝関節を整えるには全身を整えなくては改善できない。

 このように長年の間違った座り方から骨盤の後傾が起こり、正しい歩行が出来なくなり、膝関節に負担をかける。また膝だけでなく、骨盤の後傾は腰痛の原因にも、肩や首コリにもつながりますし、身体の各所に影響を与えます。この考え方を逆に考えれば、身体の各所に影響を受けた部位も整えていかないと、膝関節にかかる負担を軽減できないのです。

膝に負担をかけるのは座り方だけでなく、寝る・立つ・歩行などの正しい姿勢なり動作を身に付けなくてはならないのです。そのためには正しい姿勢や動作ができる筋肉をつくらねばならず、身体全体を調整する必要が出てくるのです。

そして院長治療で全身を整えることで、理想的な姿勢・動作をしやすくします。この状態での立ち方・座り方・歩き方の練習をして、脳に覚え込ませていくのです。歩行時の痛みも歩き方を正しくすると痛くなくなったりします。最初は正しい歩き方が出来なくとも、院長治療後は出来てくるのです。

新しい膝関節症の治療体系

膝なら膝だけを診るのでなく、身体の無駄な緊張を解くことから始める新しい考え方の施術方法です。そのために顎関節と関係がある側頭筋マッサージから始めます。上向きでする施術は下向きで強く背中をマッサージするのでなく、弱い刺激によって深部の筋肉までほぐす特殊なマッサージなのです。側頭筋を正しく施術すると背中の筋肉の緊張が緩むので、弱い刺激でも深部マッサージを可能とするのです。

さらに背中にある広背筋が緩むと大殿筋が緩みやすくなる、という具合に関連する筋肉をマッサージしていくので、筋肉の関連性を調べながら調整することで、いろいろな部位が自然に緩み、調整できるようになってきます。

膝なら膝の周囲にある筋肉だけをマッサージするより、流れで自然と緩む方向に導かれるのです。また正しい立ち方・歩行・座る姿勢・寝かたなどを指導することで、日常生活での膝関節を悪化させる習慣を取り除いていきます。その結果、手術という方法以外の改善が目指せるのです。以下が院長治療における流れです。

頭のマッサージ → 背中の深部・浅部マッサージによる背部調整 → 大殿筋・大腰筋調整 →  股関節調整・O脚矯正 → 下腿部マッサージ → 立位姿勢及び歩行指導 → 座位による頚部調整 → 背筋バランス調整 → 顎関節調整 → 座位姿勢の指導 → うつ伏せ寝位による調整


変形性膝関節症の原因・症状・治療法・実績 ガイド


参考文献

テンプレート療法・Quadrant Theoremを基本として 前原 潔著 “TMD ” Jeffrey Okeson 著 医歯薬出版株式会社 南江堂 ネッター解剖学アトラス Frank H.Netter,M.D 分光堂 解剖学アトラス
からだのソムリエ 本の泉社 斎藤匡寿著