椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア・非特異性型・脊椎分離症などの腰痛

人間とサルの骨盤の違い

 600万年前に人類の祖先とチンパンジーは進化において枝分かれした、と言われています。

 骨盤といわれる部分は寛骨と仙骨でつくられていますが、右側に位置する写真はチンパンジーなどの猿の仲間の骨盤で、寛骨が縦に長く、仙骨だけでなく腰の骨の下から2番目までとで構成されているのです。

 左に位置する人類の場合は仙骨を境に腰骨が反っているのですが、それに比べチンパンジーなどは真っ直ぐで、固定されています。
 人類は新体操の演技やアイススケートで見られたイナバウアーのように腰を反らせる事が出来るのです。この結果人類は立位及び二足歩行が可能となった、と言われています。

筋肉が椎間板ヘルニアの原因

 NHKで放送された病の起原“腰痛”では椎間板ヘルニアの起こる原因として筋肉に焦点を当てていました。例えば立位での男性の腰の椎間板にかかる負担と、身体を前に90度位に倒した時の負担を数値で示していました。72kgの体重の男性が立位時に66kgが椎間板に掛かり、90度位に前に倒すと235kgになっていることが実験データで出ていたのです。

 この負担増加の原因として、前に倒れた身体を直立に戻そうとして、後ろに引っ張る筋肉、特に脊柱起立筋の収縮が椎間板に負担をかけるという理論です。大変興味深いデータです。身体の重さが椎間板に悪影響を与えるのでなく、身体の使い方である、筋肉の使い方の方が椎間板に影響を与えるのです。その為、農耕における作業姿勢が腰痛の発生源であることが導き出されていました。

 ですから身体の重さが椎間板に負担をかけるだけでなく、姿勢や動作による筋肉の使い方が問題となるのです。また椎間板だけでなく、脊椎から出て行く神経や血管そして関節包・靭帯などにも影響を与えます。筋肉が腰痛の原因になっていることが分かっていても、どの部位に位置する筋肉に問題があるかは発見が難しいのです。

思いがけないヘルニア・分離症になる姿勢と動作

 姿勢や動作に注意をしないと、いくら治療を受けても再度悪化してしまうのです。
 以前レーザー治療で腰椎ヘルニアを手術された方が来院されました。大変素晴らしい手術でヘルニア部位以外は何の傷をつけずに成功したそうです。しかしヘルニアを生じさせた原因を解き明かしてくれなかったので、手術後にヘルニアを生じさせたであろう座位姿勢をしてしまいました。

 その結果ヘルニアが再発し、病巣は2つになってしまったそうで、寝ていても痛い状態になってしまいました。十数か所の病院・治療院を回り当院に来て頂いたのです。
 院長治療において、痛みが起こる原因を見つける問診、また寝た状態・座った状態・立った状態での筋肉調整、日常生活の腰の状態を悪化させない養生法・体操法の指導によって痛みも改善され、悪化もなしに現在ではテニスが出来る状態にまでなっています。
 日常生活の思いがえない姿勢や動作の中には腰に大きな負担をかけるものが幾つもあります。これらの指導が腰痛治療には必要だと思いますので、下記に紹介します。

 上図は足を伸ばして座る姿勢です。正しく坐らないとふとももの裏にある筋肉を縮め、背中を丸めてしまいます。
 このような状態になると正しい立ち方や歩行が難しくなりますし、ヘルニアの症状がある方は悪化しやすくなります。

 上図はそり腰姿勢です。S1の部位が仙骨です。Lという記号は腰骨を示します。
 L5は5番目に位置する腰の骨のことです。そり腰になると仙骨が上にあがる=骨盤の前傾が生じ、仙骨の上に乗っている5番目の腰骨が前にずれるようになります。脊椎分離症・すべり症と言われた方は改善が必要です。

ヘルニアになる間違ったストレッチ

 上図はストレッチ体操に多く見られる前屈です。

 この体操は思いがけないのですが、ヘルニア症状を悪化させるのです、前屈をすると背骨が矢印のように前に傾き、黒い点で示されている髄核を後方に移動させるので、ヘルニアを引き起こしやすくします。上右図は背骨の図で中にある黒い部分が髄核です。この髄核はゼリー状で背骨にかかる負担を減らすクッションの役割をします。上述したように背骨の動きで変化します。腰の悪いときは適切な指導が必要ですので、専門家に日常しているエクササイズを分析してもらうことも大切です。

 以前ヘルニアと診断された方で、身体に良いからとヨガを実践されていた女性がいらっしゃいます。

 前屈系の動きも多くとられていたので、ヨガに行くことを一時ストップしてもらい院長治療を受けられたところ、「イスに長く坐っていると痛くなっていたのが無くなってきた」との報告を受けました。現在ではヨガをしても問題は無くなっています。

 身体に良いと思われている動きが負担をかけることも度々あるのです。水泳の泳ぎ方も気を付ける必要があるのです。

ストレスが筋肉に負担をかける

 福島県立医科大学でのデータです。

 福島県立医科大学の菊地臣一学長は腰痛の世界的権威で、最新の腰痛の情報を使って、この大学の付属病院は腰痛治療をしています。そこでの発表では、腰痛の85%が非特異的腰痛といって、「腰の痛みの原因は腰にあることは分かっているが、何処から痛みが起こっているかが分からない」というデータが出ていました。

 現実に作家の夏樹静子さんは原因不明の腰痛に悩まされ、心療内科の医師である平木先生に診てもらい、大きなプレッシャーによる心理的ストレスから生じる腰痛ということが判明され、治療を受け完治したそうです。 放送では、シンシナティ大学のカミット・デービス博士の実験結果が紹介されていました。それはベルトコンベアーで運ばれてきた小さな荷物を、左右のベルトコンベアーに振り分ける軽作業での、背筋に掛かる筋肉の負担を調べたものです。

 最初は奇数の数字の箱を右のベルトコンベアーに、偶数の数字の箱を左のベルトコンベアーに分けた時の値と、7桁の数字で3桁目と5桁目を足して計算し、奇数と偶数で振り分ける作業、つまり、ストレスを掛けた場合と掛けない場合で検査が行われたのです。

 その結果ストレスを掛けた方が背筋にかかる数値を計算して、腰の骨にかかる数値を出した結果、70kgも増加していたことが分かったのです。

 ノースウエスタン大学のバニア・アプカリアン博士は痛みとストレスとの関係を「慢性腰痛の人は痛みの感情的反応をコントロールできなくなってしまい、痛みの記憶が増幅され、しかも長く持続している」と述べられています。その理由として、身体の各部位における感覚器官で得られた痛みの信号が脊髄へ送られ、そして視床が活動するパターンが正常であるのに、前頭葉が活動してしまうことに原因があることを、脳の活動領域を調べて説明されていました。

 実際に院長治療で痛みのある患者さんを診ていると、心理面から解いていかなくてはならぬ方が大勢います。腰なら腰、膝なら膝の痛みの症状を改善しても、「この痛みが無い状態がいつまで続くのか・・・・。」と、痛みが取れた瞬間から考え、不安になる人もいます。

 私はよく、痛みの増幅装置の話をします。本当は10の痛みしかないのに、100や1000に感じる人もいます。

ヨガ・気功は最新の腰痛治療に匹敵する

 痛みの科学は急速に進歩し、解明が進んでいます。しかし心理的な面における壁は相当大きく、その進歩のスピードを阻んでいます。

 しかし5000年前の人類はヨガや気功を通して、筋肉と心理面の関係を深く探求していました。

 ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツでも、オリンピック選手の強化法としてヨガを使い、ヨガナスティックとして、イメージトレーニングを実施し、筋肉と心理面の結びつきを選手の育成に応用し、成功を収めています。5000年の昔、インドや中国の農民が、過酷な労働条件及び朝と夜での寒暖差が大きい厳しい気候条件において、自分の身体を守る方法として生み出したヨガ・気功。

 その方法は現代の教室で行われているような複雑な動きでなく、毎日10分位の時間で出来る、簡単で単純な動作運動だったようです。

 しかし、その単純動作の体操を毎日続けることで、筋肉を整えるだけでなく、自律神経や心理面にも大きな影響を与えたようです。

 私はヨガ及び気功を実践した者として、複雑な体操としてではなく、古代の先人達が実践していた原理と方法を伝えたいと思っています。それは最新の腰痛治療に匹敵する価値あるものだからです。

ヘルニアでも痛みがない

 以前20代の男性で腰痛がひどくなって来院された方がいます。足のしびれもあり、ラセーグテストをしても陽性となり、坐骨神経痛が表れていました。ヘルニアの疑いがあるのでMRIの検査を勧めたのですが痛みが辛いので、施術後安静にする事を条件に施術する事になりました。

 痛みが数回の施術で緩和されたので、MRI検査を受けに病院に行ってもらいました。

 2~3日後検査結果を報告に来てくれました。やはりヘルニアと診断されました。しかしヘルニアが見つかった時点において、足のしびれもほとんど無くなり、正しい姿勢を保持していると「痛みを感じない」という所まで回復していました。

 ヘルニアと診断され施術を受け、症状が緩和された方は数多くいらっしゃいますが、症状が緩和されてから画像診断を再度して頂ける方は少ないので、貴重な情報を頂いたのです。
 現在の研究では髄核が神経を圧迫することによる痛みでなく、髄核に含まれる化学物質が神経根に炎症を生じさせ痛みをつくる、と報告されています。痛みの研究は日進月歩で進んでいます。ですからヘルニアの処置方法も手術だけでなくなってきているのです。

原因不明の腰痛も対処する

 最初に問診を受けて頂きます。そこで痛みの起こる時間・動作・姿勢などを聞き取ります。椎間板ヘルニアと脊椎分離症とでは痛みの起こる姿勢で判断できます。また椎間関節症では痛みの起こる時間で予想がつきます。

 次に医療機関での診断結果と照らし合わせます。次に動作検査の説明があります。施術部屋に入って頂き、ベッドに上向きに寝て頂きます。腰痛の方でも膝痛の方でも、全ての方を頭の横にある側頭筋マッサージから始めます。側頭筋はものを噛む時に使われる重要な筋肉です。しかし咀嚼筋としてだけでなく「感情を噛み殺す」と言う言葉にあるように、我慢したりストレスを受けた時に反応する大切な筋肉の一つです。

 この側頭筋をマッサージすることで身体の緊張を解く方向に導きます。これから施術する部位の緊張を緩和させる大切な手技なのです。この状態で背中の筋肉を上向きで施術します。
 上向きでの刺激はうつ伏せでの刺激よりも弱いのですが、側頭筋マッサージによって背中にある深部の筋肉をほぐすことを可能とするのです。また上向きでの姿勢を整えることは正しい立位姿勢を導きます。
 そして院長治療の特長である部位の施術でなく、一連の流れよる全身への施術方法は、原因不明の痛みを引き起こす大腰筋や梨状筋などの深部に位置する筋肉にも影響を与えることを可能としたのです。さらに腰痛とは関係ないと思われる顎関節を調整したことで腰の痛みが改善されたり、首の位置を正しくしたことで歩行時の痛みが軽減されたりします。

 また激痛で寝た状態で施術すると起きれなくなる方は座位から始めます。さらに座ることもできない方は立った姿勢で施術をします。気功で培った正しい立ち方=站粧功(たんとうこう)から得た体験は、無駄な力を入れずに立つことをマッサージで可能とするのです。
 その結果、立位姿勢での痛みを最小限におさえることができます。次に正しい歩行指導によって尻の筋肉や腰の筋肉を強めるのです。腰を曲げて来られた方、足を引きずって来られた方などが「楽になりました」と帰って行かれる姿を見るのは楽しいものです。

 また日常生活で負担がかかる姿勢や動作を見つけだし、アドバイスすることで院長治療の効果を維持することを可能とします。下記は通院中の原因不明の腰痛で来られている婦人の例です。


椎間板ヘルニアの原因・症状・治療法・実績 ガイド


参考文献

テンプレート療法・Quadrant Theoremを基本として 前原 潔著 “TMD ” Jeffrey Okeson 著 医歯薬出版株式会社 南江堂 ネッター解剖学アトラス Frank H.Netter,M.D 分光堂 解剖学アトラス
からだのソムリエ 本の泉社 斎藤匡寿著