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顎関節症


顎関節症をどれだけ知っていますか?聞いたことがありますか?

 クリック音が起こる理由を知っていますか? 医師に聞いたことがありますか?

 MRIを見て「関節円板が前方に転位しています」とか「関節円板が落ちている」と歯科医から言われました。
 あなたは「関節円板が前方に転位した」「関節円板が落ちた」と聞いて意味が分かりますか? 
 また原因を質問したことがありますか?

 マウスピースによって治療を受ける前に「マウスピースをすると、どのような効果があるのか?」を聞いたことがありますか?

 顎関節症の原因や専門用語を聞いていない方が多くおられます。また顎関節症の治療法の効果も詳しく聞いてない方が大半です。

 またこのように口の中だけを見ていて顎関節症は改善できるのでしょうか?

 しかし身体の歪を正すことで顎関節症を改善するという治療院が増えてきていますが、マッサージ・整体・カイロプラクティックの先生方は顎関節の仕組みを理解しているのでしょうか?理論としても身体と顎関節の関係を知っていなければいけません。

 
身体の歪と顎関節症とは関係が深く、当院では開口のズレと身体の歪をデジタルカメラによって記録し、その画像をクォードラント理論を基本に説明します。またOkeson教授の著書「TMD」で説明されている顎関節症と筋肉の関係からも説明しています。この本には関節円板が前方に移動する原因や、ストレスを含む心理的な要因が、顎関節症に関係する筋肉に与える影響も書いてあります。


顎関節症になる原因は日常生活の悪習慣です。



 この絵は首が左に傾く癖がある女性です。首の動きは僅かですが、顔の筋肉のバランスが崩れることが確認できると思います。もし更に首の傾きが増すとどうでしょう?

 首を左に思いっきり傾けて下さい。多くの方が左側の上下の歯が付きやすくなっていると思います。つまり左で噛みしめ易くなるのです。もし左下で一晩中寝ていたらどうでしょう。

 無意識に左側で噛みしめていると思います。その習慣が何年、何十年続いたらどうでしょう?

 噛む筋肉である咀嚼筋の左右のバランスが崩れ、その結果、口を開く時に負担を掛けるようになって、下アゴのズレを引き起こしかねないのです。

 では首を傾ける、横になって寝る、という癖はどのようにして生まれるのでしょう?

 それは決して首だけの問題ではなく、日常生活の何気ない身体の使い方から生じる、身体の歪が引き起こしているのです。下図で見られるように、首・頭に付く筋肉は身体の帆の役目をしている筋肉だからです。

 


背中の筋肉は帆船で例えると“帆”になるのです。



 
 



 写真は背中の浅部に位置する僧帽筋・広背筋を示しています。正しく背骨を中心として横に広がる帆として見えます。僧帽筋は後頭部・首・胸の部位から鎖骨・肩甲骨へ付きます。広背筋は胸腰の部位から腕に付きます。

 図で見られるように帆柱に向かって多数のロープが伸びていきますが、人体では更に多くのロープ=筋繊維が存在します。

 右効き・左効きの人がいるように、どうしても前後左右均等に身体を使うことは難しいのです。そして一端バランスが崩れると、崩れた状態の方が居心地が良くなるのです。そして猫背や横向きで寝る姿勢を無意識に取りたくなるのです。


身体のひずみは下アゴの動きを悪くさせるのです。

 私達は目・鼻・耳・口などを使って身体を正しく動かします。しかし身体に痛みや歪があればどうなるでしょう?

 目・鼻・耳・口などもベストな状態では使えなくなります。例えば首が左に傾いたままになってしまうと、口は大きく開かなくなります。本を読むにしても焦点が合わせ難くなります。呼吸も首が真っ直ぐだった時と比べ苦しくなります。耳の聞こえ方も左右均等ではなくなります。

 逆に首が左に傾いたままの症状を真っ直ぐに改善すると、開口も楽になり、特に目がはっきりしてきます。つまりベストな状態に戻るのです。そして実際の症例として、上向きでの施術が終わる頃に開口のズレの減少だけでなく、「耳鳴り・耳詰まりが減った」と確認される方もいらっしゃるのです。

 

下アゴの位置などは脳が覚えているので、口内器具を使う場合は少しづつでないと変化させることが難しいようです。


 全身の各部位を少しづつ調整すると、脳は無理なく正しい位置を覚えていきます。実際に上向きでの施術が終わる頃には潜在的な緊張も緩むので、頭や顔にある筋肉も緩んできます。この状態になると「横向きでないと寝れない」と言っていた人が、「上向きの方が楽だ」と言うようになるのです。
 
 つまり脳に正しい情報をインプットしたのです。座位姿勢での施術後においても、猫背であった人が「猫背は苦しい」という状態になってきます。この状態は背中の筋肉も前後左右のバランスが整い始めたことを示す兆候で、もちろん首も傾きのない正しい位置に置かれます。

 このように脳に正しい情報をインプットしていくと、顎の位置も正しい位置に誘導されるようになるのです。ですからSRMでは開口調整も身体の調整をした後でないと、施術しないという理由が理解して頂けたと思います。実際に座位での施術が終わる頃には、開口での下アゴのズレが減少しているケースが多く見られるようになります。


身体のひずみ=顎のズレ



NHK放送「ためしてガッテン」2011年2月9日放送

試しにこんな実験を行いました。
2,30代の男女にプールに集まってもらい、
足に浮輪をつけて、うつぶせの状態で
プカプカ浮いてもらったところ・・・

下アゴの位置を右にずらして噛むと
体全体が右に動くという
興味深い現象が起こりました。

左にずらして噛んだときは、体は左側へ・・・。
興味のある方は、プールなどでぜひお試しを!

 左の内容は「ためしてガッテン」のホームページから転用したものです。「下アゴの位置を右にずらして噛むと身体が右に動く」という実験です。つまり
顎のズレから身体のひずみが出る可能性を提言しています。

 顎のズレから身体のひずみが、身体のひずみから顎のズレが、・・・・・。という具合に無限のズレの連鎖が始まります。この時に顎のズレを矯正しようと、顎にばかり目が行ってしまうと、治りが遅くなってしまいます。

 ですから顎関節症や耳詰まり・耳鳴りなどの改善は、身体のズレを整えることが大切なのです。


 
仕事をしている時の姿勢を変えるのは難しいかもしれませんが、身体のひずみをマッサージで整えてもらうことは難しくありません。


 



 図で頭の側面に位置する筋肉が側頭筋です。そしてアゴの横に付いているのが咬筋です。この2つの筋肉は収縮力が強く、30kg以上の力で収縮します。ものを噛む時に使われる咀嚼筋=側頭筋・咬筋と比べて口を開く時に使われる外側翼突筋は大変小さな筋肉です。ですから左図の下に位置する絵に注目して頂くと、側頭筋の下に小さな外側翼突筋が位置していることが確認出来ると思います。この筋肉は右図で確認できるように口の中に位置しています。左図をクリックすると拡大図になります。
 ですから側頭筋・咬筋などが緊張して硬直していると、開口はスムースに動かなくなるのです。更に関節腔を狭くする原因にもなってしまいます。このような状態になった時にどうすれば良いのでしょう?

 パソコン業務で下向きで仕事をしていたらどうでしょう。その状態で口を開けてみて下さい。口は開けずらいと思います。しかし喉を伸ばして上を向くと、先ほどよりも口が開きやすくなると思うのです。下を向いた姿勢を長く続けると、上の歯と下の歯が付きやすくなります。つまり下アゴの拳上が起こりはじめ、咀嚼筋の収縮が強くなるのです。そして下アゴの位置などを脳が覚えてしまうと、口内器具で咀嚼筋の収縮を抑えようとしても、少しづつでないと変化させることが難しいようです。

 仕事をしている時の姿勢を変えるのは難しいかもしれませんが、身体のひずみをマッサージで整えることは難しくありません。当院のオリジナルマッサージは弱圧でも深部に影響を与えるので、即効性があります。あっという間に関節の可動域が広がります。そして整ったら維持する体操を指導しますので、マッサージによる整体の効果を維持させることが出来ます。

 マッサージによって筋肉を緩め、正しい位置で運動することで整体をします。今までの治療方法とは全く違うので、当院の施術を受けられた方が受けたことが無い方に説明することが難しいと言われます。しかし一応の治療法の体系を下記に示しました。

 来院された方は最初の顎関節の仕組みの説明に驚かれます。それは院長の顎関節の知識がすごいからです。クリック音が起こる理由。顎関節症での顔の変形。顎関節痛の改善は?なんでも院長にお聞き下さい。あらゆる事を理論的に説明してくれます。

 
 
顎関節症の治療法



@ A B C
顎関節の仕組みの説明 開口検査=映像化 側頭筋マッサージ 広僧筋マッサージ
D E F G
股関節調整 座位での施術 首の可動域調整 肩関節調整
H I K L
背筋整体 開口調整 養生法指導 体操法指導
側頭筋マッサージ


 写真で頭蓋骨の側面についている筋肉が側頭筋です。下顎骨の筋突起に付きます。ですから写真で見るように顎関節の前方に位置しています。そしてこの筋肉は始まっている部位が広く、付いている部位が狭いのが特徴です。綱引きをした時に5対1で引くようなもので、すごい力で下あごを引き上げます。しかし5車線だった道路が突然1車線に変わって渋滞するように、力は出やすい構造なのですが、筋繊維は絡みやすくなってしまいます。

 また下顎骨は筋肉がないと下に落ちてしまいます。つまり筋肉によって下あごは支えられているのです。この支える役目を咬筋などと共にしているのが側頭筋なのです。通常はトーヌスといって筋繊維が順番に収縮してきます。例えば前方から後方にかけて10本ずつ筋繊維が収縮していく。このような方法で疲れ難くしています。しかしパソコン業務などで緊張するとこの規則正しい収縮に異変が起き、そうでなくても絡みやすい構造なので、コリができやすくなってしまいます。



 

 顎関節症・耳鳴りなどの症状を有している方達の側頭筋を触ると、何もしていない状態で「ピクピク」していることが確認できます。それはちょうど、目の下が「ピクピク」と痙攣している人と同じような収縮です。またこの痙攣は目の下と違って自分で気が付いていない方が多いようです。しかし側頭筋は気が付かない、気が付くに関係なく収縮を続けていますので、硬いコリ=硬結ができてしまうのです。
 
 また側頭筋は構造上、下あごを後ろに引き上げる作用もします。口を開ける動きは開口域が2cm以上になると前方に移動し始めます。その時に側頭筋が硬いと、前方に移動する動きを制限して、開口障害の一因になる場合も多くみられます。また右と左の側頭筋で収縮する力に差が出てしまうと、開口時においてズレが生じます。鏡を見ながら口を開けていくと、真っ直ぐに開かない方も多くいると思いますが、側頭筋に問題がある場合が多いのです。
 
 この側頭筋を緩める方法は筋繊維の方向をしっかりと指の感覚でとらえマッサージすることと、全身の緊張をとることで神経の異常興奮を抑えることです。


 親指を支点に4本指を側頭筋に当てます。この時に側頭筋の広い面積にある硬結の状態を4本の指がそれぞれ感知しなくてはいけません。
 そして硬結の部位に合わせた圧でマッサージするのです。ですから中指が当たった部位と、小指が当たった部位との硬さが違えば、圧の入れ方も変わりますし動きも変わります。つまり4本指を同時に動かすのではなく、動きも圧の入れ方も別々なのです。
 SRMは触った感覚から動きをつくりだします。そのため動かしている指は車でいう4輪独立駆動なのです。ですから一見すると簡単に思える側頭筋マッサージも数年かけて習得するマッサージなのです。

 


大胸筋マッサージ
           


 
大胸筋も側頭筋と同じく付着している部位が狭く、始まっている部位が広い筋肉です。この図から理解できるのは腕に付く部位の筋繊維がいろいろな方向から集まってきたということです。上に引く筋繊維と下に引く筋繊維が混在している筋肉なのです。ですからこの筋肉が硬くなると、日常生活で使われる動作に負担をかけるようになります。
 

 この筋肉が収縮すると腕を内側に動かすので、肩も内側に向くようになります。つまり大胸筋が硬くなると上を向いて寝た時に肩が浮くというか、背中がベッドに付いていないような感覚をつくるのです。大胸筋は構造上、肩関節外旋・内旋位で筋肉の出方が変わります。また筋繊維の走行に合わせてマッサージしたり、筋繊維の交わっている箇所を丁寧にほぐすことも必要です。そのためには母指マッサージだけでなく、四指を使ってマッサージすることもあります。
 このマッサージが効果を出すと、腕を水平より上に挙げる動作が楽になります。筋繊維の形状から大胸筋が収縮していると、挙げている腕を下に引く動きをするからです。しかし下に位置する腕を水平にもってくる動きに対しては協力筋となります。

 


広僧筋マッサージ

  


 広僧筋マッサージとは広背筋と僧帽筋を上向きでマッサージする方法です。広背筋も僧帽筋も左右1対ある筋肉で、どちらも背骨を中心に外側に広がっています。その姿はヨットやマンガのワンビースに出てくる帆かけ船を想像させます。特に広背筋を右写真のように逆さまにすると雄大な帆船となります。図297は帆柱に例えた背部の模型図です。船の帆にも例えられる広背筋・僧帽筋は左右均等でない動作や猫背・反り腰などで大きくバランスを崩します。その結果、帆柱=背骨も崩れていまいます。特に背骨は1本の柱でなく、数多くの骨で構成されていますので、部分的に大きくズレる可能性もあります。
 
 そして広背筋・僧帽筋の崩れを自分でも知る方法があります。それは上向きで固い地面に寝るのです。背中がピッタリと地面に付かないのは、バランスの崩れによって部分的に硬結ができているからです。

 ヨガの行法で一番大切とされているのは「シャバアサナ」として伝えられている上向きで寝るアサナです。ただ上向きで鳴る姿勢をするだけなので、初心者には大切にされません。しかし自分のしているポーズが正しいかどうかを検査する最終ポーズなのです。つまり幾つかのポーズをとった後に上を向いて寝てみると、左右のバランスが整えば地面に付きやすくなるので、自分の身体を調整出来たか否かが判断できるのです。

 インダス文明が興った頃の農民の作業は身体を捻じり、中腰姿勢が多かったようです。家に帰る頃には「へとへと」です。ですから5〜10分くらいの簡単なヨガのポーズをして、上向きで寝れるようにして寝たようです。上向きで寝ると身体が自然と引っ張られて、中腰姿勢で固くなった部分をストレッチして緩めます。また左右に腕を置くことで、大胸筋も伸ばされ、肘を曲げての作業で固くなった腕の筋肉もストレッチされます。さらに背中の筋肉が左右均等に引っ張られることで、日中の捻じった動作の作業から生じた歪を修正するのです。
固い地面でも上向きで寝れるようにするには、上向きで硬くなっている部位をマッサージすれば良いのです。うつ伏せでは出ない硬結もマッサージ出来るのです。


 コロンブスの卵ではありませんが、背中のマッサージはうつ伏せで施術することが当たり前でした。上向きで寝やすくするには、上向き姿勢で生じる部位の硬結によって、背部の緊張が生まれています。 

 広僧筋マッサージをした後に「背中がベッドに付きやすくなっている」ことを確認する必要もあります。さらに腕の拳上をしてもらって軽さがでれば、広背筋・僧帽筋を緩ませたことになります。


 また「上向きで寝やすくなった」ということは「猫背や反り腰の予防になった」ということを示します。正しい寝方が正しい立位姿勢となるからです。



大殿筋マッサージ

   
                     


 広背筋は上の図で白く見える胸腰筋膜から腕に付きます。大殿筋は左の図のように胸腰筋膜を介して大腿の外側に付きます。つまり広背筋と大殿筋は胸腰筋膜という部位を境に、片方は腕へ、もう片方は大腿の外側に筋繊維が走行しているのです。

 この付き方は「く」の字とも「X」とも見ることが出来ます。広僧筋マッサージをしてから大殿筋マッサージをする必要性も考えられると思います。今回は腕の拳上でなく、イスから立ち上がる、階段を昇ることと関係してきます。また正しい立位姿勢もこの大殿筋の調整が必要です。


 大殿筋の筋繊維の走行を考えると、仙骨から大腿の外側にマッサージすることが理解できると思います。

 特に股関節周囲は筋繊維から靭帯に移行する部位なので、大切な部位です。写真のように膝を立てた姿勢で、内転の具合=緊張を見ながら、腸脛靭帯を膝に向かってマッサージし、大殿筋全体をほぐします。

 次の腸腰筋を緩め易くして、股関節に関係する動きを改善してきます。
 



腸腰筋マッサージ

    

              
   
 大腰筋と腸骨筋を一緒にして腸腰筋と呼ぶことがあります。というのはこの二つの筋肉は同じ作用をするからです。その作用とは膝を上に上げる、つまりイスに座っている姿勢や階段で足を上げる際に使う動きです。 

 そして大切なのが、もう一つの作用です。上の図で見られるように大腿骨を固定すると骨盤を前方へ動かす作用をするのです。上向きで寝るとベッドから腰が浮いたように感じることがあると思います。足を真っ直ぐにすることが大腿骨を固定することで、その結果、腸腰筋が硬いと反り腰となり、腰が浮いた感覚となるのです。この感覚が苦しいので膝を立てて寝ます。しかし膝を立てて寝ると疲れるので、横向きになってしまうのです。

 大腰筋は腰の腹側から大腿骨の内側へ、広背筋は腰の背側から腕へ、腸骨筋は腸骨の腹側から大腿の内側へ、大殿筋は腸骨の背側から大腿骨の外側へ。

 このように広背筋・大殿筋・腸腰筋は関連しあって動作・姿勢に影響を与えています。ですから正しい寝方・座り方・立ち方・歩行などに大きく影響を与え、身体の歪に大きく関係します。


 腸腰筋は腸の下に位置するインナーマッスルとして有名です。

 腸の下に位置している腸腰筋にアプローチすることは難しいと言われています。しかし特殊な押圧の掛け方をすれば筋肉は緩み且つ収縮力を回復させます。

 腸腰筋マッサージをした後に股関節屈曲=膝を胸に付ける動作をしてもらい、可動範囲が広がれば、この動きが軽く感じられるようになります。

 この結果で腸腰筋マッサージが出来たことを確認します。もし変化がなければ腸腰筋マッサージではないのです。



SRMの手技の順序(=座位姿勢)

 
首の可動域調整 → 肩関節調整 → 背筋整体 → 顎関節調整 → 表情筋マッサージ → 舌骨下筋群マッサージ

 首の動きから筋肉の状態を診ることで正しい判断ができるようになります。例えば「首を後ろに回す時に痛い」。この時に痛い部位をマッサージすると原因とは違う部位の施術となってしまいます。右に回して痛い場合は左の胸鎖乳突筋及び右の板状筋・最長筋に問題があります。首の三方向の動きをチェックしながら根本的な原因箇所を絞っていきます。

 肩関節を考える上で五十肩などの肩痛で有名になった「腱板」と呼ばれる4つの筋腱(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)など、肩甲骨から腕に付く筋肉の重要性が再認識されてきました。その他に上腕二頭筋・三頭筋も腕と肩甲骨を結ぶ大切な筋肉なのです。また肩鎖関節も考えると鎖骨の存在も大です。鎖骨と腕・首・頭蓋骨を結ぶ筋肉や大胸筋などの調整も必要になることがあります。このようにして首の三方向調整・肩関節調整が成されると、首・肩・腕の動きがスムースとなって、胸部に位置する筋肉が緩みます。
 
 胸椎は前側にある胸骨と肋骨によって繋がっています。そしてその空間には心臓・肺といった生命と関係する臓器を入れています。そのために外部からの刺激を受けないように、頸部・腰部で吸収しようとします。車の例で説明すると、衝突した時に車の前部が衝撃を吸収するために、へこみ(=凹)やすくなっています。この例と同じく首や腰は損傷を受けやすく、ヘルニアなどの起こる確率は胸部に比べ頸部・腰部の方が断然多くなっています。また胸部の筋肉はインナーマッスルで有名な回旋筋が多く集まっている部位です。この事からも推察されるように、座位での身体の捻じれに関係してきます。前述した二つの調整によって身体が緩むと背部の残っている緊張部位が見えやすくなります。

 背筋整体とは脊柱起立筋・僧帽筋中部線維・広背筋の起始部の胸腰筋膜・多裂筋・大殿筋・梨状筋などをマッサージによって緩め正しい位置に整えます。この施術で効果が出ているかの確認は胸背部の緊張がほどけ、座位姿勢が安定するか否かです。このときにヨガの牡牛のポーズをしてもらうと左右均等になっています。
 
 正しい座位姿勢が出来てから顎関節調整をします。「顎関節の位置のズレが身体に影響を及ぼすのであれば、身体のズレを矯正すれば顎関節のズレも改善に向かう」という仮説を立て立証しています。現実に開口時のズレの減少が顕著に表れます。また咬筋などの咀嚼筋だけでなく、表情筋も顎関節調整の対象としてアプローチします。
 顔面神経麻痺で顎関節症の方を改善した例があります。この場合、麻痺側と健側との左右差から開口に際して正しく楕円形に開くことを阻害してしまうのです。ストレスから表情筋の左右差が出ている人に対しては表情筋マッサージも施し、正しい開口を誘導することで顎関節を調整します。
 また顎関節マッサージでは開口時に前方移動する下顎骨の後ろ側から硬直している筋肉を確認してマッサージすることで、関節円板のズレを最小限に抑える方法も効果を上げています。


養生法指導


正しい位置に戻った顎関節を維持するために必要な養生法を指導します。また口を開ける時の恐怖から、口を開ける動作中に口を閉じる筋肉を使う共収縮を起こしている方も数多くいらっしゃいます。この恐怖を取り除く作業も養生法に組み込まれています。

体操法指導



仕事や学業で無理な姿勢をしなければならない場合、修正方法として体操法を指導します。雑誌に多く取り上げられた咀嚼筋ストレッチ(=顎ストレッチ・口開け体操)は指導の下に実行すると、多くの改善効果が期待できます。その他の体操も1回10分以内で済むように考慮しています。

その他に噛み方や歯ブラシの指導によって3〜20回の通院で改善される方が90%以上という好結果を生みだしています。

顎関節症の実績

 現在顎関節症の治療で多く使われているプレート療法の理論=「関節腔を広げることで、関節円板の自然整復が可能となる」から、関節腔を広げる方法として、当院では口腔内に入れる器具でなくマッサージ整体を施すことで可能としています。この理論と治療体系から下記に示すような数多くの実績を出しています。
 顎関節症は症状として「顎関節痛」「クリック音」「開口障害」の三つに分けることが出来ます。その為に原因も様々で治療法も微妙に変わってきます。そこで院長治療における通院経過を知って頂きたく、公表することにしました。しかし個人情報が含まれるために、個人を特定出来ないように仮名に致しました。今回はあくまでも治療経過を中心にした内容です。原因不明で苦しまれている方へのヒントとなって欲しいと思います。

 通院期間が短い例

田中 早織さん(33才・女性)の場合
症状
2〜3年前からクリック音がするようになり、顎関節に痛みも起こっていたが、しばらくすると痛みは消えたので放置していた。しかし昨日から右顎関節周囲の痛みがひどくなり、固形食が食べられなくなってしまった。前から当院を知っていたが、「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と来院するきっかけを逸してしまった。仕事帰りであったが、「今日はアイスクリームしか食べていない」という状態であった。顎関節周囲はじっとしていても痛い。口も痛みがあるので大きく開けられない。
経緯
歯科医院でマウスピースをつくり、夜間のみ着用。しかし口の中の違和感から睡眠が浅くなってしまい、数日で外してしまった。それ以降は顎関節症治療で歯科医院以外には行ったが、効果が芳しくなかったので放置していた。
経過
・初回時、側頭筋が非常に硬く、触れた時点でピクピクと無意識の状態で動いていた。緊張感が強く、頬にある咬筋や顎関節周囲はマッサージを極力せず、身体全体を緩めることに努める。その結果じっとしていても痛い状態は改善されたが、ティッシュを噛んでも痛い。そこで明日の来院を勧める。
・2回目、昨日の施術後にはパンの柔らかい部分は食べられた。朝方は少しの痛みが感じられたが、今は少し良くなっている。側頭筋の硬さも半減していた。座位によるバランス調整により開口範囲が広がり、ストレッチ効果から顎関節周囲の筋肉の硬さが減じた。
・3回目も次の日に来院される。身体調整後顎関節マッサージを施す。さらに当院独自の顔面マッサージ・舌骨下筋群マッサージによって、顎関節周囲の重苦しさが解消された。。
・4回目も次の日に来院される。パンの耳を噛みながらの咬筋マッサージで痛みを解消。
・5回目も次の日に来院。結局5日間連続で来院される。特に硬いものでなければ噛んでも痛くなくなり、寝て起きたときに今までは身体が重苦しかったが、爽快感をもって目覚めることができるようになった。
・6回目は4日後に来院される。通常の生活において負担がなくなっている。また咀嚼筋ストレッチをすると顎関節だけでなく、身体も楽になってくる。本日で修了。
養生法
・ 咀嚼筋ストレッチを一日に朝晩2回ずつを実行する。
・下向きでのあくびをやめる。
・しばらくはソファーでの使用をやめる。そして上向きでの寝位をとる。
・マウスの位置、画面の位置を身体に合わせる。


吉田 峰子.さん(17才・女性)の場合
症状
口腔外科で右顎関節の関節円板のズレをレントゲンで確認。指1本の開口でズレてしまい、ものを噛む時にはいつも「カクカク」音がする。
経緯
「手術の必要がある」と医師から言われ、何とか手術をしない方法を探す。インターネットの掲示板に当院での体験談があった。そこには「手術しなくて済んだ方の記事があり、望みを託して長野県からお母様と一緒に来られた。口を開くときに指1本の大きさでも音がするので、関節円板の異常が考えられた。当初は大変難しい症例なので、20回くらいの通院で改善が見え始めると判断したが、本人の頑張りで養生方法をしっかり守り、さらに指導した体操法を実践したので、合計5回の通院で症状が改善された。上記のような難しい症状での最短記録である。
経過
開口時に左へズラす癖がある。顎関節マッサージにより右へ移行させ真直ぐ開口する練習をする。
・2回目は3日後に来院される。パン噛みによって左右均等に奥歯でものを噛む練習をする。また舌で歯にはさまったものを取ることを禁止する。
・3回目は4日後に来院される。開口時の左へのズレが矯正され音が消える。
・4回目は2日後に来院される。顎関節マッサージで噛み方を矯正。ものを噛んでも音がしなくなる。
・2ヵ月後来院。開口及び噛んでも音がしない。
養生法
・前傾座位姿勢・上向きでの寝位を実行する。
・鏡を使って開口及びものの噛み方を練習する。
・ 咀嚼筋ストレッチを一日に朝昼晩3回ずつを実行する

千谷 和郎さん(46才・男性)の場合
症状
・右顎関節痛・耳詰まり・肩こり・頭痛・ものを噛むと痛い。
・大きい口を開けてから閉じるときに右顎関節にひっかりがある。
経過
・背中を緩めた段階で常にあった右顎関節の違和感が軽減される。開口時にあごが左右にZ字型に動く。顎関節マッサージによりZ字の動きが修正される。
・2回目は次の日に来院される。耳鳴りも減り、座位によるバランス調整により首・肩・背中が楽になり、開口しやすくなる。
・3回目は4日後に来院される。大きく口を開けた状態から閉じる方法を指導。右顎関節の違和感も消え、終了する。
養生法
・前傾座位姿勢・上向きでの寝位を実行する。
・鏡を使って開口及びものの噛み方を練習する。

近藤 佐和子.さん(35才・女性)の場合
症状
・2ヶ月前に左側の親知らずを抜いてから体調が悪くなり、吐き気・立ちくらみ・頭痛が続き
 口腔外科でのマウスピースや精神安定剤でも改善は見られない。
経過
・大阪から5日間の予定で来院される。
・1回で吐き気が治まり、3回で頭痛が消え、5回目で開口時のズレも無くなる。
養生法
・ 咀嚼筋ストレッチを一日に朝昼晩3回ずつを実行する
・前傾座位姿勢・上向きでの寝位を実行する。

通院期間が長い例

安藤 正子さん(52才・女性)の場合
症状
・ 2〜3年前から急に顎関節が痛くなり、指1本しか開口できなくなる。
・T医科歯科大学では「関節円板が落ちており、顎関節に麻酔注射を打ち開口器で口を開いて いけば良くなる可能性もある」と診断され,たが、口を開口器で無理に開く事の恐怖から当院 に来られる。
経過
・2回の施術で指2本まで開く。しかしフランスパンなどを噛むとあごが痛い。
・6回目の施術で指先3本開口が可能となり、フランスパンも痛くなくなる。
・20回目で指3本と第2関節まで開口可能となり、ビーフジャーキーなども食べれるようにな る。
・26回目で開口時のズレも無くなり、ほぼ正常となる。
養生法
・ 最初の約1ヶ月間、週2回、次の1ヶ月間、週1回、後の5ヶ月間は月1〜2回の通院で終了 する。
・ 咀嚼筋ストレッチを一日に朝昼晩3回ずつを実行する

橘川 実子.さん(43才・女性)の場合
症状
1年前から右顎関節痛が生じ、指2本以上開くと痛い。またフランスパンのような硬いもの を食べると痛い。
・腰痛も最近感じるようになり、左小趾背側痛もある。

・左でものを噛むと右顎関節が痛くなるので、右ばかりでものを噛んでいる。
経緯
・歯科医院でマウスピース治療を開始する。また噛んだままの状態で顎を左右に動かす訓練を させられる。しかし痛みは取れず、「痛みと上手につきあって」と歯科医の先生からと言わ れた。「80歳の婦人も痛みと上手に付き合っている」という歯科医院の現状から当院での 施術を希望される。
・「治る見込みがない!」という医師の言葉から、当院での施術を希望される。
・噛んだまま顎を左右に動かす訓練のためか、開口におけるズレを補正するのに必要以上に時 間が掛かる。

・ 最初の2週間は週4回、次の3週間は週3回、それ以後は週1〜2回ペースで6ヶ月間、合 計50回=8ヶ月間の通院を必要とした。症状は解消し無事終了する。
経過
・1〜4回目の治療によって開口時の痛みが軽減され、指2.5本では痛くなくなる。しかし ものを噛むと痛い。
・5回目の時に、口を開ける時は左へズラすと楽になり、噛む時は右へズラすと痛くなくなる 事を見つけ出す。
・6回目から20回目において顎をズラさないように噛むと痛みが軽減するので、ずらさない で噛めるようにマッサージによって調整する。また首の位置と口の開け閉めも注意して施術 する。
・21回目から40回目、風邪・趣味の踊りの発表会などが重なり、顔面や顎関節の痛みが出る 。しかし痛みが 取れるにつれ、急速に改善していく兆候が出てきた。マクドナルドのハン バーガーが食べられるようになり、  開口域も指3本と第1関節まで可能となる。
・41回目から50回終了まで、開口していく間の怖さが減り、また開口する事によっての痛み でなく、伸ばされていく気持ち良さに変化した。顎関節周囲の痛みも消え、フランスパンも 平気で食べられるようになった。
・ 咀嚼筋ストレッチを一日に朝昼晩3回ずつを実行する。パン噛みを夜1回実行する。その他 養生方法を実践する。

 

参考文献 : テンプレート療法・Quadrant Theoremを基本として 前原 潔著
参考文献 : "TMD " Jeffrey Okeson 著 医歯薬出版株式会社
参考文献 : 南江堂  ネッター解剖学アトラス Frank H.Netter,M.D
参考文献 : 分光堂  解剖学アトラス
参考文献 : からだのソムリエ 本の泉社  斎藤匡寿著