顔面神経麻痺の原因と症状・施術法・実績 2章

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顔面神経麻痺

顔面神経麻痺の施術法

新しい整体院では顎関節症の施術で培った技術とエステティック時代のオイルマッサージを筋肉マッサージに変えて顔面神経麻痺の改善をしています。咀嚼筋も表情筋もストレスと大変関係があります。Topページや斎藤治療院の特長でも紹介しましたようにストレスと“コリ”は大変関係が深く、マッサージ整体によって全身の調整から“コリ”を改善する方法を取っています。そのため顔面神経麻痺の施術法も顎関節症と同じく全身調整から部位マッサージを施しています。

この方法により潜在的な筋肉の緊張が緩みますので自力の修復作用が高まります。当初は顔面マッサージのみの施術をしておりましたが、現在は顔面マッサージのみでの改善はしておりません。その方がはるかに効率よく顔面神経麻痺の症状を改善できるからです。下記には過去の記録と最近の記録を公表しています。

顔面神経麻痺の実績

新しい整体院(旧斎藤治療院)における通院経過を知って頂きたく、公表しました。しかし個人情報が含まれるために、個人を特定出来ないように仮名に致しました。この症例は、2010年頃に来院された方です。顎関節症を発症されていたので自然と正しい開口練習が必要となり、今日の顔面神経麻痺の治療体系の基礎となりました。また当時は顔面マッサージが主体で、この症例から全身マッサージの必要性を感じ始めました。

佐藤 一樹さん

昭和55年生まれ/システムエンジニア/男性

顔面神経麻痺 症状

一年半前から開口時にクリック音が生じる。最初はクリック音の改善を希望として来院されるが、顎関節の治療をするうちに、顔面神経麻痺という症状を報告される。顔の右半分が麻痺しており、とくに頬骨部、鼻翼部の動きが非常に悪い。つねに重さがある。口角が動かない。そのような症状から大頬骨筋、小頬骨筋などの小頬骨筋群の違和感、さらに上唇鼻翼挙筋なども問題があるようで、右眼窩下部においても凝りのような重さを感じている。またこめかみ、側頭筋、咀嚼筋、咬筋にも大きな張りがある。右半分が重苦しいという症状が本来の症状として確認された。

新しい整体院での顔面神経麻痺 治療法

9月14日(顔面神経麻痺治療履歴)

顎関節を左右にずらす癖があり、開口時クリック音がする。右顎関節が何か重苦しく開けにくい。首を左側屈、右捻転がやりにくい。一般施術によって開口が少し楽になる。

9月17日(顔面神経麻痺治療履歴)

開口は楽になっていた。口を外側に引くことと、目の瞬きに違和感を感じる。顎関節症はだいぶよくなったが顔面の違和感を訴え顔面神経麻痺であることを初めて吐露する。

9月19日(顔面神経麻痺治療履歴)

右目を開けているのが辛い。右目が重たい。口元は右へ引くときに違和感が出る。右目を強く閉じようとしても60%くらいしか閉じない。口元左右に引く、右のみが動き左はほぼ動かない。顔面神経麻痺の症状が出ている。目の重さ、口元の重さが顔面マッサージで半分近く減る。パソコン疲れとは関係ないと報告を受ける。朝方は調子がよい。しかし、夕方、夜になると辛くなる。このときはパソコンと関係ないということであったが、辛くなる過程を見るかぎり仕事のしすぎと漫画の読みすぎに原因があると思われる。

9月23日(顔面神経麻痺治療履歴)

この日から顔面マッサージのみの施術とする。治療時間40分のところ30分という形で顔面マッサージをする。

10月1日(顔面神経麻痺治療履歴)

30分の顔面マッサージをする。右首の痛みは左口内炎で右噛みを多くしたせいによることが考えられる。

10月8日(顔面神経麻痺治療履歴)

顔の張り、とくに唇の上、頬、側頭部、眼瞼、顎二腹筋などのマッサージによって顔の張りが減ってくる。

10月15日(顔面神経麻痺治療履歴)

30分で顔面マッサージをしたものを、馴れてきたので40分治療に戻す。次回、どのように変化するかを調べる。

10月22日(顔面神経麻痺治療履歴)

40分の顔面マッサージをする。口唇まわりが動くようになる。今までマクラを使用しなかったことからくる首の張り、横向きでの首の張りをマクラを使用することで減らす。右側の顎関節周囲の違和感をマッサージでとる。顔面神経麻痺の症状と顎関節症の症状が代わる代わる出る。口角を外側に引っ張る、口角を開けることが楽になる。

10月29日(顔面神経麻痺治療履歴)

目を上に向ける動作をすることによって顔面が痛くなっていたが、それがとれてきたと報告を受ける。目の周囲も楽になる。口角を横に、そして上げることが楽になる。その結果、開口が楽になる。口角挙上筋が楽になる。

11月5日(顔面神経麻痺治療履歴)

目の周囲の重さは残るが、それでも前にまして楽になる。顎のまわりはまだ麻痺したような感覚が残っている。

11月12日(顔面神経麻痺治療履歴)

大小頬骨筋マッサージを施す。口角挙上筋が楽になる。さらに頬を上げる練習を施す。

11月19日(顔面神経麻痺治療履歴)

口角を上に上げる練習をする。全体的に楽になっている。

11月26日(顔面神経麻痺治療履歴)

表情筋を動かしてもらい重い部位を報告してもらう事を止め、楽な状態のままで顔のマッサージを施す。目を上に向ける練習を開始する。顔面の痛みがなくなり、順調なので目を上に向ける練習を開始する。顔面神経麻痺の症状が軽減されてきた。

12月22日(顔面神経麻痺治療履歴)

症状が楽になったので、一カ月近く来院されなかった。そのため首が痛く、上を向くと右顎関節が痛くなってしまっていた。右咬筋の硬結が再発し、顎関節緩和法を指導する。少し口を開けたままその状態でゆるめる方法をとる。

翌年 1月14日(顔面神経麻痺治療履歴)

開口しにくくなってしまった。そのため再度、30分の顔面マッサージをする。開口がしやすくなる。やはり顎関節症の治療を優先し開口調整から顔面神経麻痺の症状を軽減することに努める。

1月21日(顔面神経麻痺治療履歴)

本日は身体全体がほぐれやすく、顔面神経麻痺の症状も改善されやすい。本日は表情筋の健側側にもマッサージを施す。

2月4日(顔面神経麻痺治療履歴)

頬骨下縁マッサージによってひじょうに楽になる。ついで咬筋マッサージ、側頭筋など咀嚼筋をマッサージすることによって開口が非常に広がり、楽になる。やはり開口が楽になると顔面神経麻痺も良くなっている。

2月11日(顔面神経麻痺治療履歴)

頭のマッサージを長く施し、前頭部、眉毛の付近の硬結をマッサージする。また鼻涙管マッサージなど顔面の目、眉、側頭筋などに重点をおいたマッサージによって非常に楽になる。

2月16日(顔面神経麻痺治療履歴)

頬骨丘付近が重たい。乳様突起マッサージで楽になる。

3月1日(顔面神経麻痺治療履歴)

土・日もなく働いたので右首が張っている。乳様突起マッサージで首の辛さもとれる。このときは、顔面マッサージのみでなく、座位マッサージで上半身を施す。その結果非常に楽になる。顔面神経麻痺が顔面だけでなく身体全体の疲れからも影響を受けることを実感する。

3月4日(顔面神経麻痺治療履歴)

顔面の違和感がだいぶ楽になり、しかし首の辛さがあるので座位の首のマッサージをほどこす。雄牛のポーズも両側可能となり、背中のバランスもとれてきた。

3月18日(顔面神経麻痺治療履歴)

首の痛みが出ている。前回と同じように胸鎖乳突筋マッサージによって楽になる。胸鎖乳突筋は咀嚼とも関係ある筋肉なので食事をゆっくり取るように指導した。また頬骨のあたりのマッサージによって顔面も楽になる。

3月27日(顔面神経麻痺治療履歴)

首および顎の開口に違和感があったので胸鎖乳突筋マッサージと顔面マッサージをていねいに施す。

4月3日(顔面神経麻痺治療履歴)

顎関節の違和感が感じられる。顎ストレッチをしたあと顔面マッサージによって硬くなった部分を取り除き、側頭部マッサージでさらに楽になる。顔面神経麻痺の症状は顎関節症を引き起こし、さらに顎関節症を改善しないと顔面神経麻痺も改善されないことを確信した。

4月7日(顔面神経麻痺治療履歴)

また顎関節に違和感が起きる。顎ストレッチで楽になったが、下顎骨の下角あたり、咬筋の付着部マッサージで楽になる。仕事、漫画など目を休んでいる時間が少ないことを指摘する。しかし、その生活習慣を改善するつもりはないようであった。

4月12日(顔面神経麻痺治療履歴)

右の顎二腹筋マッサージによって硬結をとり開口も楽になる。顎、首、顔の違和感がとれる。

4月19日(顔面神経麻痺治療履歴)

胸鎖乳突筋の硬結を発見、マッサージにより顎関節が楽になる。右三叉神経の中枝、頬骨付近にゴム状の硬結を発見、マッサージにつとめる。

4月26日(顔面神経麻痺治療履歴)

顎関節の具合は良好となる。口唇の上に違和感、側頭筋の凝りはあるがマッサージによって気にならなくなる。

4月29日(顔面神経麻痺治療履歴)

右胸鎖乳突筋の硬結がやわらぎ、開口が楽になっている。頬骨周辺マッサージを中心に施す。

5月27日(顔面神経麻痺治療履歴)

首が凝っている。前腕後側の凝りが目立つ。指を動かしているせいであろう。顎関節および咬筋マッサージによって開口が楽になり、顔面の違和感も取れる。顔面神経麻痺の改善と腕の疲れが関係していることが、このような体験から分かってくる。

7月8日(顔面神経麻痺治療履歴)

非常に期間があく。体全体が疲れ牡牛のポーズの右後手が難しくなってしまった。左の股関節をマッサージする。それで体全体が楽になる。長い間座っていたせいか肩関節・股関節ともに負担がかかったことが原因と思われる。身体全体の調整からの顔面神経麻痺の治療の必要性を感じた。

7月22日(顔面神経麻痺治療履歴)

耳の後に凝りを感じ、耳の後の胸鎖乳突筋マッサージで楽になる。

7月29日(顔面神経麻痺治療履歴)

久しぶりに顎関節に違和感を感じたという事で、側頭筋を中心のマッサージでとる。

8月5日(顔面神経麻痺治療履歴)

側頭筋が辛い。マッサージ後、楽になったが顔面の凝りも強く出ていた。顔面マッサージ、胸鎖乳突筋マッサージでとれる。

8月11日(顔面神経麻痺治療履歴)

顔面マッサージを中心に施す。かなり楽になる。寝方が右方向の可能性が強いことが報告される。

8月17日(顔面神経麻痺治療履歴)

首が痛いということで来院。全身マッサージ、その後、顔面マッサージ、胸鎖乳突筋マッサージで楽になる。中心施術を胸鎖乳突筋として施した。身体のマッサージ整体が必要である。顔面マッサージだけでは根本療法とは成り得ない。

8月24日(顔面神経麻痺治療履歴)

顔面マッサージ、座位マッサージによって背中や首、肩をほどこすと非常に楽になり、大変喜ばれる。

9月9日(顔面神経麻痺治療履歴)

首が重たいということで来院。左の胸鎖乳突筋の凝りが強い。マッサージ後、右乳様突起部の重さを感じる。しかし咬筋、頬骨下縁マッサージで楽になる。右三叉神経、眉の付近に重さを感じる。前頭筋のマッサージでこの部分はとれる。ずいぶんよくなっているが顎関節周囲に張りがあるということでマッサージをし改善される。この時も全身マッサージによる身体調整からの部位マッサージで効果を出した。

10月14日(顔面神経麻痺治療履歴)

右側の咬筋の重たさを感じている。しかし、上向きの背中のマッサージと座位の胸鎖乳突筋マッサージでほぼ痛みがとれる。ただ左の胸鎖乳突筋に強い張りを発見する。

10月21日(顔面神経麻痺治療履歴)

右顎関節痛。牡牛のポーズ後、減少し、右顎二腹筋マッサージで開口時の痛みはとれる。

10月25日(顔面神経麻痺治療履歴)

全体的のマッサージをする。右喉に硬結があり、足の外旋位をしていることを注意し、なおしてもらう。顔面の違和感も頬骨丘付近のマッサージでとれる。

10月28日(顔面神経麻痺治療履歴)

右咬筋、顎二腹筋の凝りが多い。午前1時から4時までパソコンを使用したせいか表情筋が凝っていた。しかし。頬骨付近のマッサージで改善される。

11月4日(顔面神経麻痺治療履歴)

前回、頬骨付近に硬結を発見し、そこにマッサージを施すと楽になった。

11月11日(顔面神経麻痺治療履歴)

顔面神経麻痺がほとんど気にならなくなり、全体のバランスをとることに集中する。

11月23日(顔面神経麻痺治療履歴)

頭頂部、左足の凝りが目立つ。本人は首の辛さといっているが、頭頂部と左腰のマッサージをすることによって十分ほぐれてくる。腰の部分の張りをとるためにうつ伏せにおいて中臀筋、ふくらはぎマッサージを施した。

12月16日(顔面神経麻痺治療履歴)

首がつらいというので胸鎖乳突筋の凝り、前回の中殿筋、ふくらはぎの硬結をとるマッサージを施した。顔面神経麻痺の辛さはほとんどなくなる。

12月23日(顔面神経麻痺治療履歴)

全体的に良好。左背中、腰、顔面と関係ない部分の凝り、つまり仕事の疲れをほぐすのみにおいて終始し、今日で終了する。


参考文献

テンプレート療法・Quadrant Theoremを基本として 前原 潔著 “TMD ” Jeffrey Okeson 著 医歯薬出版株式会社 南江堂 ネッター解剖学アトラス Frank H.Netter,M.D 分光堂 解剖学アトラス
からだのソムリエ 斎藤匡寿 著 本の泉社

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