線維筋痛症の施術法・実績 2章

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線維筋痛症の改善記録 新しい整体院

線維筋痛症がどのような経過を通して改善していくかを知って頂きたく公表しました。しかし個人情報保護の観点から仮名にしています。是非参考にしてください。

石島 幸子さん。昭和42年生まれ。主婦。

症状(線維筋痛症)

上向で寝ていても身体の裏側、背中が非常に痛く、どんな姿勢でも痛みを感じ、つらいので来院される。

線維筋痛症の過去の通院歴

以前に胸腺の腫瘍が発見され、放射線療法および抗がん剤治法にを受けてから線維筋痛症のような症状が起きるようになる。

通院経過(線維筋痛症)

8月10日(線維筋痛症)
側頭筋、咬筋マッサージによって体がゆるむ。とくに両方とも右側の硬結がひどく、それをゆるめることによって背中の筋肉もゆるみやすくなり線維筋痛症マッサージがより効果を出した。更に股関節調整によって上向きで寝ることが非常に楽になる。背中の苦しさを100とすると10くらいの感覚しかないまでに減少する。体の緊張が見られたのでその緊張をとるために顎関節を整える方法も施す。その結果、牡牛のポーズ後、指3本がスレスレに口に入るようになる。歩行指導によって身体後側の痛みが100のうち10くらいの痛みに減衰した。

8月13日(線維筋痛症)
3日ほど経ったが体の痛みは80%以上とれている。深部の筋肉のゆるみが今までになかったほど身体の痛みを改善している。歩行指導および筋肉がなくなっているので、立位での腕立て伏せを指導。以前受けたがんの放射線法、抗がん剤療法の苦しみからかまだ噛み締めが起っていることがわかる。そのため顎関節を中心として体を緩める練習をする。

8月15日(線維筋痛症)
調子がいいのでパソコンの仕事や家事を多めにしたため、首、肩の痛みが出る。そこで顎関節調整を中心とし背中等をほぐすことによって、マッサージ施術後は楽になる。

8月16日(線維筋痛症)
パソコン30分、家事15分しても辛くなくなる。上向きで正しい位置での股関節屈曲体操を指導する。また、うつ伏せにおいても膝関節屈曲を楽にする方法を指導する。うつ伏せで膝を立てて内旋、外旋運動をした結果、内旋が非常に難しいことが理解できた。

8月20日(線維筋痛症)
本来は施術日であったが体調が悪いということでキャンセルをされる。

8月21日(線維筋痛症)
体調不良が消え、マッサージ後は非常に爽快な気分ということで、ほぼ上向きでの痛みも消え、開口域も指3本以上を回復しており、噛み締めの部分も顎ストレッチによって解消されつつあるので、今日で終了とする。

8月28日(線維筋痛症)
一週間後、リラクゼーションでの来院。ほとんど痛みというものは消えた。ただ、首や肩の張り、腰の張りということで今回からリラクゼーションのみでの通院となる。

鶴田 まゆみさん。昭和54年生まれ。パソコン業務

診断並びに症状

指先のしびれが最初の徴候で段々と全身に広がっていった。複合性局所疼痛症候群および線維筋痛症と診断された。痛みの部位がその日によって変化する。クーラーの風に当たると痛くなる。少しのことで疲れる=慢性疲労症候群。

新しい整体院への通院経過

8月20日(線維筋痛症)
側頭筋の硬結が強くマッサージすると痛みが強く出た。線維筋痛症マッサージで身体が楽になる。指先のしびれから全身へと変化したので、上腕・前腕も丁寧にマッサージする。この時点で指先のしびれは改善されていた。股関節調整での大腰筋マッサージ中に「気持ち悪くなる」という報告を受けた。通常は「くすぐったい」という事は言われることは多いが、「気持ち悪くなる」という報告は初めてであった。やはり左股関節外転の可動範囲が狭い。座位では首の三方向の可動域も開口域も問題なかった。伏臥位でのマッサージでは脊柱起立筋および中臀筋の硬結が強く出ていた。しかしマッサージ整体後には身体の痛みの部位は改善されていた。

8月27日(線維筋痛症)
前回も施術で楽になってきた。しかしクーラーに当たると、その部位が痛くなる。前回は気が付かなかったが歩行時に踵に痛みを感じる。背中の痛みは軽減したが疲れやすい。パソコンに長い間向かうと背中も腕も痛くなる。下を向く癖が強く、その結果猫背になってしまう。線維筋痛症マッサージの後呼吸が楽になっていることを確認。また左股関節外転の範囲が正常になる。また歩行指導によって踵の痛みも軽減。

8月31日(線維筋痛症)
全身の痛みは軽減しているが、何らかの仕事をすると疲れてしまう。がんばると痛みが出てきてしまう。咀嚼筋ストレッチと肩肘体操を指導する。痛みがでても体操することによって改善されることを示唆する。本日はふくらはぎが痛いとの報告でふくらはぎマッサージ後に立位姿勢と歩行指導をする。特に立位では後ろに重心を置き過ぎていた。また歩行と太陽に当たることを勧める。施術後は大変明るくなって帰院。

9月3日(線維筋痛症)
前回の施術後に右膝が痛くなったとの報告を受ける。そこで立位姿勢をみると右足に体重をかけ、後重心であったのが前重心に変化していた。その結果、今まで使わなかった筋肉を使ったので痛くなったことを説明する。そのことを証明するために股関節調整後に膝屈伸体操+硬結マッサージで楽になる。また立位での後重心と前重心とで使う筋肉の違いを確認してもらった。過敏になっていることを納得してもらった。予防として足首の体操を指導する。

9月7日(線維筋痛症)
右膝痛が無くなったとの報告を受ける。通常であれば痛みにならない筋肉の収縮が痛みへと変化することを生理学的に説明する。筋肉の張った状態と痛みの感覚が怖さから分けられなくなっていた。またふくらはぎが硬くなる原因として座位姿勢を指導した。

9月10日(線維筋痛症)
本日は右足首が痛いようでバンドで固定していた。側頭筋の硬結は本日は緩んでいた。強い痛みと痛みが存在する部位が減少したことによる。左股関節外転時にソケイ部が痛いとの報告を受けた。大腰筋調整でも痛みが解消されないので調べると右腹直筋付着部に硬結があった。マッサージ後には左股関節外転時の痛みも解消され、歩行時の右足首痛も消えた。さらに再度線維筋痛症マッサージで背中を緩めると足が軽くなったとの報告を受ける。

9月18日(線維筋痛症)
10日の施術を受けた後に行先で嫌な体験をした。それから腕の痛みが再発し、右ソケイ部と足首も痛くなってしまった。新しい整体院では痛みが起こっている箇所のマッサージは極力避けて別の部位から改善していきます。今回も右左ソケイ部を触ってもらい痛くない左ソケイ部の方が硬い部位があることを確認してもらい、左ソケイ部だけマッサージした。それから歩いてもらうと右ソケイ部も足首も痛く無くなっていた。また左ソケイ部にある硬結も半分は緩めたが残っていた。しかしそれ以上マッサージせず座位でのマッサージと伏臥位でのマッサージを続け、再度左ソケイ部を触ってもらうと、硬い部位がほとんど無くなっている事を確認してもらった。大きな感動を受けてくれたようで部位の痛みに対しての恐怖も減少したようであった。

9月25日(線維筋痛症)
田舎に帰っていたので、だいぶ散歩が出来た。階段も昇ったし腕を振って歩けたので、パソコンなどで腕も使ったが前よりも辛さが無くなった。ソケイ部や足首の痛みも消えた。このような報告を受けた。

10月9日(線維筋痛症)
胃の痛みが3日前から出た。内科で診てもらったが軽い胃炎と診断された。そこで按腹法を施した。胃の重たさが解消された。唾液の必要性を説明した。唾液を出してから良く噛むことを勧める。腕の痛みはパソコンをしても出なくなったとの報告を最後に受けた。

10月16日(線維筋痛症)
親戚のの赤ちゃんの世話をしていたら左臀部から大腿後側にしびれ、右足首痛が出た。施術後には全て解消された。本人も新しい整体院でマッサージ整体を受ければ痛みは消えるという確信があるようで、痛みに対しての恐怖が消えた。

10月22日(線維筋痛症)
右踵と足の裏に痛み、左ソケイ部に痛みがある。右前脛骨筋の硬結が強く座位姿勢で足を内反させていたことが推察された。またアゴの痛みが出たとのことで咀嚼筋ストレッチを指導する。身体に自信が出てきたので資格試験に挑戦することを決めた。

10月29日(線維筋痛症)
講習会に本日から参加する。そのため緊張から背中の硬結がでた。しかし深部の硬結は減少していた。イスに長い間座っているので大腰筋強化法を指導した。

11月5日(線維筋痛症)
足の裏と踵が痛い。側頭筋・背中も凝っていた。今回はふくらはぎの深部マッサージを施した。特に後脛骨筋マッサージが効果を出した。多分に座位で足を後ろに引き、つま先を立てて座っていたようである。また「痛い」と思いながら足首体操をするのと「楽になる」と思いながら体操するのとで効果の違いを体験してもらった。

11月12日(線維筋痛症)
全体的に楽になってきた。日々痛みが変わるので痛みが持続することが消えた。

11月19日(線維筋痛症)
講義を聞いていても疲れなくなった。通常の生活を送る不安が消えた。

12月3日(線維筋痛症)
9階まで階段で昇って来れた。息切れもしなくなった。体力も付いてきたので線維筋痛症の症状は消えた。長時間の座位では通常の疲れや重さは感じるが痛みへの変化は消えた。首や腕の疲れも指導した体操をすると楽になるそうである。「疲れも人並みとなった」との報告を受ける。

線維筋痛症 慢性痛症(傷は治っているのに起こる痛み)

線維筋痛症が全身症状であるのに反して、部位の痛みである慢性痛症とは原因となった傷はすでに治っているのに痛みが治まらなかったり、あるいは検査ではどこにも原因らしき病巣はないのに、長期にわたって痛みが続くという、急性痛のしくみでは説明できない不思議な痛みです。線維筋痛症は脳に原因があるという判断で研究されていますが、慢性痛症は脳ではなく感覚受容器から脊髄へ、そして脳へ送られる痛みの神経系に問題があると考えられています。

強い痛みが長く続くなどのことが引き金となり、痛みの神経系に歪が起こり、その歪そのものが痛みの原因となると考えられています。痛みの神経のルートが歪むと、本来なら痛みと感じられないような軽い刺激や、寒さ・気圧の変化・感情の昂ぶり・過去の負の思い出を思い起こすというきっかけでも痛みが起きたりします。急性痛のような痛みの部位を知らせる痛みでなく、また痛みを起こすしくみも急性痛とは違うので、急性痛の時に効く鎮痛薬・鎮痛法が効かない場合が多くなります。

線維筋痛症 慢性痛症の痛みを感じている部位にある“コリ”

私は慢性痛症と医師から診断された方をみたことがあります。通常は痛みを感じている部位を押すと痛みは強くなります。しかし痛みを感じている度合いは強いのに押してみても強い痛みを感じないのです。もし痛みを引き起こしている箇所に炎症があったら強く押した箇所は悪化してしまいます。しかし何の変化もないのです。つまり痛みという警告信号を起こす要因がない痛みの部位なのです。

しかし私は痛みを感じている部位と感じていない部位の差を見つけたのです。それが“コリ”でした。硬くなっている部位、硬結と表現した方がピントくる部位でした。一番最後には通院記録を載せてあります。痛みの神経のルートの歪とともに、“コリ”が起こしている警告信号が脳に制御を受けないで流入しているようにも思えます。そのため“コリ”周囲の血液循環をよくすると痛みが軽減されることが、この理論の証明につながると思います。

慢性痛症の痛みを感じている部位にある“コリ” (線維筋痛症)

痛みの原因が無いのに痛みの症状がある

最近慢性痛症と思われる男性が来院されました。5~6か所の病院で検査してもらったが、痛みの原因がないのに痛みの症状がある。

症状(線維筋痛症)

会陰部に痛みがあり、また痔でもあったので医師から痔の手術を勧められる。さぞかし楽になるだろうと思ったが、会陰部の痛みは無くならず、さらに悪化してしまった。

経緯(線維筋痛症)

痔の手術を受けた後、痛みを訴えたので、総合病院での診察を勧められる。しかし原因が分からずじまいで、ドクターショッピング(改善方法を見つけるために色々な病院を歩き廻ることを意味する)を始める。最終的には痛みをブロックするペインクリニックを訪問するが、痛みは解消されなかった。痛みの患部はMRI診断でも異常なしであり、炎症もないそうである。

経過(線維筋痛症)

上向きで寝て、じっとしていても患部の痛みがある。新しい整体院の施術の流れで上向きの施術を終わるころ、じっとしている状態であれば痛みは感じなくなる。そこで患部周囲を強圧でマッサージする。健康な人と比べ患部周囲にはコリと思われる硬結が多く感じられた

2回目の新しい整体院への来院、全然良くなっていないとのこと。しかし私は満足した。患部痛が傷によるものであれば患部周囲と言えども強圧刺激をすれば悪化するはずであるが、悪化しなかった。というのは痛みの患部に何らかの炎症やその他の異常な組織変化があったのであれば、時間の経過とともに痛みの患部は悪化するからである。

痛みが持続しているのは、痛みのために患部を守ろうとして、大切にし過ぎて血液循環を悪くしてしまった怖れがある。そのために患部をマッサージすると共に、このような状態の時は筋肉も弱っているので患部の筋肉に刺激を与える運動法を指導した。すると痛みが軽くなったそうである。腱鞘炎で来院した女性は指を使わないように指示され、血液循環が悪化して痛みが持続していたが、この症例と似ていることが考えられた。

3回目の新しい整体院への来院時において、「数時間は楽であった。」という報告を受ける。今回は患部にとらわれずに全身状態を見ることに努めた。やはり首や肩を緩めると痛みの度合いが減る。潜在的な全身の緊張も痛みを軽減させない大きな理由である。前述したように触覚が痛覚に変化しているように思われた。院長施術終了後にはだいぶ楽になっているそうである。

4回目の新しい整体院への来院時には元の暗い状態に戻っている。しかし施術終了後には満面の笑みで帰る。大変忙しい人なので、来院回数も限られるので、痛みの再発の落ち込みのフォローに力を入れた。施術を受ければ減ること、痛みは今までどんな施術方法を試しても減ることはないのであるから、施術を受けたら痛みが減るということは、改善への希望があることを示唆した。

気温・気圧の変化・仕事上のストレス度合いによって痛みが増減した。そこで痛みの度合いを常に感じようとするのでなく、良くなった部分を見つめようとする練習を開始する。しかし中々難しいことのようで、実行するのには時間がかかった。

実行できるきっかけは、ストレス性の便秘になったことである。患部の痛みよりも便秘の辛さが強いということで、按腹法による便秘解消を施した。便秘の苦しさの方が患部の痛みより強く感じるからである。その事で痛みの度合いが自分が感じているよりも少ないことを実感してもらった。その時から患部の痛みは自己の感覚器系の感度を上げているために生じていることを理解してくれたようであった。また触角の神経が痛みを伝えてしまう現象を上の図を使って説明した。そして実際に痛みを感じている患部を強く押した。痛みはあったが、それでも強く押した。すると楽になる。

週一度のペースで14~15回目くらいからは、当院で指導した運動法をすると楽になることを実感できるようになる。しかし痛みが強い日は運動もしなくなってしまう。ストレスが掛かれば掛かるほど、運動法をしないと痛みは増すのであるが、心が負けてしまう。また新しい整体院に来て、新しい整体院のベッドに寝るだけで痛みが軽くなってしまう、または痛みが消えてしまう時もあるそうで、安心感から痛みが減ることが理解できた。


参考文献

日本人体解剖学 南山堂 金子丑之助 著 動きの解剖学 Blandine calais-germain 著 仲井 光二 訳者 科学新聞社 ネッタ―解剖学アトラス Frank.H.Netter 著 南江堂 解剖学アトラス Wener Platzer 著 長島聖司訳 文光堂 ボディ・ナビゲーション Andrew Biel 著 医道の日本社 からだのソムリエ 斎藤匡寿 著 本の泉社

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